自閉症は発達障害の中でも最も多い症状と知られていますが
一体、自閉症とはなんなのでしょうか?
詳しく、見ていきたいと思います。
もくじ
よく聞く自閉症とは
自閉症とは、コミュニケーションや興味などに偏りが生じる発達障害
生まれつきの脳機能の特徴を持ち、そのために生活上の支障を来している発達障害の一つです。自閉症の症状の程度や、症状の生じる場面などは人によりさまざまで、幼少時から個々の状態に合わせた適切な支援が必要です。
自閉症にみられる特徴
自閉症の特徴として大きく3つあります
- 対人関係の問題
- コミュニケーションの問題
- 活動と関心の限定
対人関係の問題
自閉症の方は一言でいうと「マイペース」な人です。
状況に合わせた人とのやりとりが苦手です。周囲に合わせた行動が難しく、いわゆる「空気が読めない」状態に陥ることが多くあります。学校生活など、集団での活動が必要な場面でも、自分のやりたいことを主張するなど自分優先の言動が少なくありません。
コミュニケーションの問題
基本的には、言葉の使い方の問題です。言外の意味を把握できず、冗談や皮肉、比喩などが伝わりづらいです。あいまいな表現も苦手で、「少し」「適当に」といわれても、それがどの程度のものなのか理解できないことが少なくありません。
知能障害がなくても、言葉の意味が伝わらないことがあります。これは、自分の体験した範囲でしか言葉の理解をしていないからと考えられます。
以下の行動や状態は知能発達の遅れが伴う場合にみられることが多いです。
- 言葉の遅れ
- オウム返し
- 方向性のある言葉の誤用(欲しいときに「あげる」といいながら欲しがる) など
活動と関心の限定
自閉症の人は物事に対するこだわりが強いです。気に入ったことや気になることを繰り返し話題にするまたは確認する、同じ道順ややり方にこだわるといった、活動と関心の限定がみられます。
そのほか、融通がきかない状況もみられます。一般的には「しつこい」といわれる状態です。
特徴的な顔つきについては自閉症にはない
自閉症は、その人の顔つきで特徴がわかることはありません。自閉症の長い歴史のなかで、顔貌(顔つき)との関連を指摘された時代もありましたが、実際にそのような事実は確認されていません。
自閉症とアスペルガー症候群の違い
言葉の発達の遅れの有無
自閉症とアスペルガー症候群の違いは、言葉の発達の遅れがあるか否かです。
自閉症とアスペルガー症候群は、2018年1月現在は両者とも自閉スペクトラム症に含まれています。
自閉症児の知的能力ー自閉症と高機能自閉症
現在は知的能力の高低により区別することは少ない
1980年代ごろまでは、自閉症は知能障害がある場合が多いと考えられていました。そのことから、知能障害がない自閉症を「高機能自閉症」と区別して呼ぶようになりました。
一方、2018年1月現在では自閉スペクトラム症全体において、知能障害がある子どもより知能障害がない子どものほうが多いと考えられるようになってきています。そのために知能障害のない高機能自閉症を区別して呼ぶ必要がなくなり、今では「高機能自閉症」と呼ぶことは少なくなってきています。
年齢を重ねて知的能力が大幅に変化することも
幼少時に知的能力が低い自閉症児であっても、年齢を重ねて飛躍的に知的能力が伸びる場合があります。言葉の理解力が発達すれば、知能検査の結果が大きく向上し、知能指数が上昇することもめずらしくありません。私の経験でも、そうしたケースはあります。
幼児期から小学校低学年までに実施した知能検査の結果は、あくまでその時点での状態を示しているにすぎません。ですから、1度の知能検査だけで、自閉症児の知能水準を判断することは好ましくなく、注意する必要があります。
細かな自閉症の年齢ごとの特徴
年齢によって自閉症の状態像が異なります。しかし「その年齢の特徴に合致しない=自閉症ではない」ということではないと、留意しておく必要があります。
0歳
- あやしても笑わない
- 目が合わない
- 名前を呼んでも無反応
- 抱っこしたときに抱きにくい(体を反らすなど)
- 人見知りをしない
1歳
- 言葉の遅れ
- 目が合わない
- 名前を呼んでも反応しない
- 指さしをしない、母親が指さした方を見ない
- 母親を目で追わない、母親の後追いをしない
- 人見知りをしない
2歳
- 言葉の遅れ
- 話しかけられた言葉のオウム返しが多い、会話が成立しにくい
- 独り言が多い
- 名前を呼んでも反応しない
- 指さしをしない、母親が指さした方を見ない
- 母親を目で追わない、母親の後追いをしない
- 人見知りをしない
3歳
- 話しかけられた言葉のオウム返しが多い、会話がかみ合いにくい
- 相手の話を聞かない、一方的な会話が目立つ、
- ミニカーを並べるだけなどそのおもちゃに合わせた遊び方をしない
- ごっこ遊びをしない
- 他の子どもに関心を示さない
- 人見知りをしない、初対面の人でも平気
- 迷子になっても平気
- 同じ事柄や場所など、「同じ」ということにこだわる
児童期(4〜12歳ごろ)
- 一人遊びが多い
- 集団活動に入らず一人で行動している
- 友達と遊んでいてもいつの間にか一人だけ抜けて好きなことをしている
- 会話がかみ合いにくい
- 冗長な会話が多い、自分の好きな話題ばかり話している
- 言われたことの表面的理解が多い(曖昧な言葉や比喩が通じにくい)
- 自己主張が強い
- 関心がある事柄に関して大人顔負けの知識を持っている
- 被害的な受け止め方が多い
- 急に予定が変わると不安定なる
- 状況の変化に応じて行動することができない
- 思うようにならないと泣き騒ぐ
思春期(13〜18歳ごろ)
- 会話がかみ合いにくい
- 冗長な会話が多い、自分の好きな話題ばかり話している
- 言われたことの表面的理解が多い(曖昧な言葉や比喩が通じにくい)
- 自己主張が強い
- 関心がある事柄に関して大人顔負けの知識を持っている
- 被害的な受け止め方が多い
- 急に予定が変わると不安定なる
- 状況の変化に応じて行動することができない
- 無気力やイライラ、八つ当たりなど
思春期になると、だんだんと自分が他の人と違うことに気づくことが多くなります。その結果、情緒的に不安定となり、無気力、イライラなどが見られやすくなります。
理解力が高まることで、かつての不適当な友達関係に気づくこともあります。たとえば、当時は仲良く遊んでいたと思っていたのに、本当はからかわれていたことに気がつくのです。
この気づきによって、本人は深く傷つき、怒りや恥辱感が生じますが、過去のことはどうしようもできません。そのために常にイライラしやすくなります。また、周囲に八つ当たりするなど、乱暴になることもあります。
(知能障害がある場合)独り言、徘徊、こだわりの一時的な悪化
知能障害を伴う場合は、思春期のあいだに一時的にこだわりや独り言、徘徊(うろうろ歩き回る)が強くなることがあります。
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