高次脳機能障害とは

人間の脳には、呼吸や循環など「生きていくために欠かせない機能」にはじまり、知的能力、運動能力、視覚、聴覚などの「基本的な機能」、さらに知識に基づいて行動を計画し実行する「高度な機能」があります。

このなかの「高度な機能」を高次脳機能と呼びます。

高次脳機能障害とは、これらの高次脳機能に障害があるため、日常生活や社会生活に問題が生じるもののことです。

高次脳機能障害は目に見えにくく、わかりにくい障害です。
高次脳機能障害は大きく「認知障害(理解したり考えたりする能力の障害)」「社会的行動障害」にわけられます。

認知障害としては、記憶障害(覚えられない、忘れてしまう)、注意障害(注意が散漫で集中できない、落ち着かない)、遂行機能障害(物事を順序だてて行えない)、失語(ことばが出にくい、字が書けない)、失行(道具の使い方がわからない)、視覚認知障害(目の前にあるのに探せない、空間認知が悪い)などがあります。

社会的行動障害としては、感情コントロール不良(すぐにキレる、暴力をふるう)、固執(こだわりが強い、切り替えが悪い)、意欲低下(やる気が出ない)などがあります。

「高次脳機能障害」という用語は、一般には後天性のものに対して使われます。

後天性の障害の場合、特に子どもでは長期にわたり改善していくことが多いです。

脳に回復していく力(可塑性・かそせい)があるためと、子ども本来がもつ発達があるためです。

そのため症状が時間とともに変化していく特徴があります。

高次脳機能障害とはどのような原因で起こるのか?

高次脳機能障害を生じる疾患としては、子どもでは急性脳症と脳外傷によるものが多く、低酸素性脳症、脳血管障害、脳腫瘍などが続きます。急性脳症の原因は不明なことが多いですが、わかるものの中ではインフルエンザが多く、次いで突発性発疹や水痘などがあります。

急性脳症による高次脳機能障害の症状では注意障害と視覚認知障害が特徴です。
脳外傷では交通事故によるものが大半で、幼児期は歩行中の事故が多いですが、学童期になると自転車乗車中の事故が増えてきます。

乳幼児期では虐待による脳外傷が少なくありません。

脳外傷による高次脳機能障害の症状では記憶障害、注意障害、遂行機能障害、感情コントロール不良が特徴です。

低酸素性脳症の原因は溺水が多く、乳幼児期の風呂での事故が大半です。
次に多いのは心疾患に関連した低酸素状態で、乳幼児期には先天性心疾患が、学齢期には不整脈や心筋症があります。

低酸素性脳症による高次脳機能障害の症状では注意障害と視覚認知障害が特徴です。

脳血管障害の頻度は低いですが、脳出血では脳動静脈奇形破裂が多く、脳梗塞ではもやもや病、周術期のエピソード、脳外傷に伴うものなどがあります。

脳血管障害による高次脳機能障害の症状では注意障害と失語が特徴です。

脳腫瘍は腫瘍の種類によって高次脳機能障害の症状が異なります。

高次脳機能障害にはどのように対応していくのが良いでしょうか?

 

高次脳機能障害は一人ひとりその症状がちがいます。

問題となる症状をきちんと見極めることが対応の第一歩です。
病院で治療するものはごくわずかで、ほとんどは家庭と学校で生活するなかで工夫を積み重ねながら対応を進めていきます。

子どもをとりまく多くの人が共通の理解をもって進めていくことによって、子どもの症状に少しずつ改善が見られていくはずです。
高次脳機能障害の症状によって具体的な対応法が異なります。

例えば記憶障害に対しては、記憶を改善させるトレーニングをしたり、環境を整えて記憶に頼らずに生活が流れるようにしたり、メモやスマートフォンを用いて記憶の補助をしたりします。

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